Whatever choice you make

あたまのなかのことばたち

あらためて、"One Love Manchester"について

2017年5月22日。

イギリスのマンチェスターで行われたアリアナ・グランデによるライブでテロ事件が発生。犯人を含む23名が亡くなり、120名以上の負傷者を出す惨事となった。

テロが起こったのはライブも終わり、観客が帰りはじめた頃だった。

アリアナ・グランデのライブには多くのティーンが参加しており、迎えにきた保護者も被害に巻き込まれることになる。

英マンチェスター爆発、死者22人に 自爆攻撃と警察 - BBCニュース

【マンチェスター攻撃】犠牲になった人たち 8歳少女や非番警官 - BBCニュース

 

テロが起こったあとのアリアナのツイートが、悲痛だ。

このテロが起こったのは決してアリアナのせいではないけれど、自分のライブがテロの攻撃に遭い、こどもも含めた自分のファンが殺され傷つけられたというのは、とても重い責任を感じることだと思う。

アリアナは後日開催される追悼コンサートの前に、負傷したこどもたちを見舞ったという。

 

わたしはちょうどこのとき、児童・青少年演劇の世界的なフェスティバル"CRADLE OF CREATIVITY(http://www.assitej2017.org.za)"に参加すべく南アフリカケープタウンに滞在しており、BBCのニュースでこの事件を知った。

日本にいるときよりもイギリスが身近に感じたし、テロ事件の怖さが身に沁みた。

 

その後、日本に帰国してすぐ、かねてより患っていた精神的な病により仕事を休職したわたしはほぼ寝てばかりの生活を送っていたのだけど、このマンチェスターのテロ事件を追悼する"One Love Manchester"がYoutubeで中継されると聞いて、リアルタイムで視聴した。

アリアナ・グランデマイリー・サイラスジャスティン・ビーバーも、出演するゲストはほとんど知らなかったけれど、時折映し出される観客の熱に押され、楽しくみることができた。

ていうか、曲を知っているのは元オアシスのリアム・ギャラガーとcold play、ケイティ・ペリーくらいだった。

観客の多くが、"FOR OUR ANGELS"=天使たちのためにと書かれたボードを手にしていた。

 

各アーティストごとの動画はBBC MusicがYoutubeにあげている。

当日にリアルタイムで中継されたすべての通し映像はこちら。

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セットリストはこちら。

<One Love Manchester>出演アーティストとセットリスト | V.A.(洋楽) | BARKS音楽ニュース

 

リアルタイムでみながら泣きまくったし、何度もみたいまも、泣いてる。

音楽、すごいなあ…と思ったし嫉妬もしてる。

映画だって、911が起こったあとにすぐ、世界中の映画監督によるオムニバス「セプテンバー11」を制作している。

演劇ではちょっとこういう例は知らないなあ。わたしが知らないだけかもしれないので、あったら教えてほしい。

5月22日にテロが起こり、6月4日にこの追悼コンサートを行ったというそのすばやさはもちろん、こうやってすぐに、これだけのアーティストが集まったんだ。これは本当にすごいことだ。

しかもこのコンサート前日、今度はロンドン市街地で通行人を狙ったテロ事件が発生し、8名が亡くなっている。

日本だってアメリカの世界的な軍事戦略に加担しているし、わたしにすらその責任の一端はあるのだろうと思う。

この時代にテロに無関係な人なんて、ほとんどいないと思う。

だけどそれでも、殺されていい理由はない。

もちろんテロの犯人だって、人を殺す権利なんてないし、殺されていい理由なんて本当はないはずなんだ。別の方法で訴えることだって、できたはずなんだ。

でも、こういう手段でしか表現できないところまで追いつめられているんだと、やっぱりそう思う。

 

どのアーティストのアーティストもすばらしかったけれど、わたしが特に感動した者をここに残したいと思う。

 

マンチェスターゆかりのアーティストたち。

 

Take That /Shine

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Liam Gallagher /Rock 'n' Roll Star

One Love Manchester終盤、マンチェスター出身のスーパースター、元オアシスのリアム・ギャラガーが登場。

観客の盛り上がりっぷりが頂点に達した。リアムは何も語らず、いきなりこの曲を歌いはじめた。

この曲をまず持ってくるとはさすがだと思う。

歌い終わり、リアムはいつものように「ファッキン」という。それがいい。ほんとにくそったれな世の中だ。

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Liam Gallagher and Coldplay /Live Forever

※度々ディスってきたColdplayと 共演。リアムは、この共演でColdplayに対する考えをあらためたらしい…。

あんたの庭のことなんか知らないし、たぶん俺たちは何者にもなれず夢は夢のまま。だけど、それでも永遠に生きていくんだというこの曲の歌詞が痛切に響いた。

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このほか、新曲の"Wall of Glass"も披露。この曲もよかった。

 

Coldplay /Don't Look Back in Anger

オアシスの名曲を、クリス・マーティンが熱唱した。

この曲は、テロ事件後にマンチェスターで行われた追悼式の群衆のひとりが歌い出したことで、その場に居合わせた人の大合唱となった。

怒りに変えてはいけないという思いを共有している。

この曲を歌ったことについて、この追悼コンサートにスケジュールの都合上参加できなかった元オアシスのノエル・ギャラガーに「貸してもらった」と語っている。

追悼コンサートに参加しなかったノエルについてディスっているリアムはいつものことなので気にしないとして、ノエルは、追悼式でこの曲が歌われてすぐ、この曲のロイヤリティを寄付したらしい。

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Pharrell Williams and Miley Cyrus /Happy

世界的に大ヒットしたファレル・ウィリアムスの曲を、本人とマイリー・サイラスが熱唱。

こういう場で、こういう歌をうたうのはすばらしいと思う。

2人とも本当に楽しそうに歌っている。

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Katy Perry /Roar

ケイティ・ペリーは自らの代表曲を歌った。

It’s not easy to always choose love, is it? Especially in moments like these. It can be the most difficult thing to do. But love conquers fear and love conquers hate. And that love that you choose will give you strength.

「愛を選ぶのは簡単ではない、でも、愛は恐怖に打ち勝つことができる。あなたが選んだ愛はあなたに力を与える」と言うケイティのスピーチはすばらしかった。

となりの人に触れて、愛してるって伝えようというケイティの言葉に、観客がわき上がった。

この曲の前に歌った"Part of Me"ももちろんすばらしかったけれど、以前は内気で我慢していた人があたしこそが王者だ、わたしの吠える声を聞かせてあげるというこの力強い歌は、いまこそ必要だと思った。

このステージのケイティは本当にかっこよかった。

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こちらはコンサート当日、バックステージでのケイティ。

リハの様子やほかのアーティストとのコンタクトがレア。

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Black Eyed Peas and Ariana Grande /Where Is The Love?

911、そしてその後のアメリカによる対テロ戦争に対して問題提起した曲で、まさにいま聞きたいと思う曲だった。

それは、2011年にアメリカで911が起き、そして2017年のいまもそれらを発端とした争いが収束していないということでもある。

この曲は、自分をコントロールし、考えろと言っていろと言っている。

「人々は殺し合い、死んでいく。こどもたちが傷つき、その鳴き声が聞こえる。

(片方の頬を打たれたら)もう片方を出せる?

神よ、わたしたちを救ってください。導きを送ってください。

いったいどこに愛があるのだと」

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Ariana Grande /One Last Time

コンサートに参加したアーティストがステージに並ぶ中、熱唱された。

本来ならば違うイメージを持つ歌詞なんだろうけれど、いまは、テロで亡くなっていった人に向けた歌かのように聞こえる。

One more time

最後にもう一度

I need to be the one who takes you home

君を連れて帰りたいの

まるで、亡くなった人たちをもう一度彼らの家に連れて帰りたい、と言っているようなんだ。

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ここにはあげなかったけれど、ジャスティン・ビーバーの純粋な感じに打たれた…。もっと、鼻持ちならない感じかと思っていた。

 

このコンサートだけでおよそ200万ポンド(約2億8000万円)もの売り上げがあり、そのすべてが寄付されるそうだ。

アリアナはこのあと、マンチェスター市初の名誉市民に選ばれた。

短期間に立て続けにテロが起き、さらなるテロの危険性をはらんでいたイギリスでこの見事なコンサートを成功させ、会場に足を運べない人にもリアルタイムでその模様を提供した彼らを心から尊敬する。

この状況の中でステージに立つ恐怖は、あったと思う。

 

最後に。

このコンサートでアーティストたちがスピーチした言葉のまとめを。

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必要なのはテロに勝つ、なんていう勇ましい言葉ではなく、まずは自分の隣人を愛し、敬うことだ。

わたしたちは身近な人たちと手を取り合って、そして、生きていくんだ。

人を傷つける行為を断固として拒否する力が、いま必要なんだ。